みっちーの映画日記

私が観た映画の備忘録です!

「判決、ふたつの希望」:異なるバックボーンを持つ人たちは和解できるのか

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監督:ジアド・ドゥエイリ

出演:アデル・カラム、カメル・エル=バシャ

満足度:☆☆☆☆★(☆4つ)

個人的なささいな口論が社会的問題まで発展していくのが物語の筋だが、2人の個人的な背景がだんだん明らかになっていくのがおもしろい。パレスチナレバノンについて知っていたほうがよいが、知らなくてもこの人間ドラマは楽しめる。

 

 

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※こちらの画像はTOHOシネマズシャンテのエレベーターです。

 

 

判決、ふたつの希望」のあらすじ

 

舞台はレバノンの首都ベイルート

 

登場人物は、住宅の補修作業を行っていたパレスチナ人の現場監督ヤーセルと、キリスト教徒のレバノン人男性トニー。

 

トニーが住んでいるアパートのバルコニーが水が漏れているのがきっかけで、言い争いになる。

 

そして、ヤーセルが言った最後の一言がトニーの怒りに火をつける。

 

ヤーセルは会社から謝罪を促される、トニーのもとに行くのだが、逆にトニーのタブーに触れる一言により深く傷つく。

 

結局、ふたりの対立は法廷へ。

 

やがて両者には弁護士がつき、激しい論戦を戦わせる。

 

その後、この裁判の様子がメディアに報じられ、裁判は巨大な政治問題となってしまう。

 

水漏れをめぐる口論が、レバノン全体を巻き込む社会問題に発展していくのだった・・・。

 

 

感想:対立する2人の心の状態がなんとも言えなかった

 

まず、この映画を観て思ったことは、なぜこんなに対立するのかということだ。

 

生まれて育った場所、生活様式、思想、宗教など異なるバックボーンがある2人は、異なった考え方を持っている。

 

そして、お互いに、決してわかりあえない部分がある。

 

わかりあえない人が出会うと、たいていは、憎しみ合う。

 

なにせ、人間ってやつは、たかだかスポーツの応援でさえ、相手側の応援団を罵り合い、時には暴力にまで発展してしまう生き物だ。

 

いくら文明が進んでいても、人間は幼稚な部分を持っているのだ。

 

それなのに、異なる文化、異なる生活様式、異なる宗教を持っている人間が本当にわかりあえるはずがない。ふつうならそう思ってしまう。

 

現に、いまの世界を見たら争いだらけじゃないか。

 

ところで、この作品は、レバノンにいるパレスチナ難民と、レバノン在住のキリスト教信者のいさかいを描いたものだ。

 

そして、お互いに過去の不幸を背負って生きている。

 

そんな2人が裁判で争い、社会問題にまで発展してしまう。それくらい、繊細な内容だ。

 

個人の対立だけでなく、集団の対立を引き起こしてしまうくらいだから。

 

これだけ見ていると世界にはいつ平和が訪れるのだろうか、疑問に思う。

 

ただ、この2人は作品中に、あることがきっかけで、どこか通じ合うものを持つ。最後に裁判で結審され、どちらかが負けるわけなのだが、どちらもすがすがしい顔をしていたように思う。

 

そしてお互いを称えていたような気さえした。

 

ここに、異なる文化を持つ人間であっても通じることができるのではないという希望を私は見たが、現実問題としてどうだろうか。

 

お互いに、相手の文化を理解し、相手がどんな歴史を生きてきたかを学べば必ずやわかりあえるのではないかと思う。

 

作品中に対立した2人は、現実世界のどこかで対立する、ある民族とある民族の象徴だ。きっと将来、対立する民族同士は和解できるのではないか。

 

 

最後に、私は、世界のことに対してつくづく無知だと実感した。中東にあるレバノンキリスト教が盛んだったとは全然知らなかったし、難民問題を抱えていることも知らなかった。

 

そういったことを学ぶ機会を持つことができたということでも、この映画を観ることができてよかったと思う。